ジュエリー用語集

ミル打ち(ミルグレイン)/ milgrain

ミル打ち(ミルグレイン)とは、リングのふちや石座の縁に、細かな粒状の装飾を連続して刻む技法です。「ミルグレイン(milgrain)」は「千粒」を意味するフランス語に由来し、無数の小さな粒が連なる細工を指します。アンティーク・ヴィンテージ調のジュエリーに多く見られる、歴史ある装飾技法です。

ミル打ちの施工方法

最も伝統的な方法は、ミルタガネ(先端に丸いくぼみがある専用の鏨)を使って一粒ずつ打ち込んでいく手法です。地金にガイドラインとなる溝を入れたあと、タガネを一粒ずつ打ち込み、球状の突起を連続して形成します。均等な大きさ・間隔でまっすぐに打つには熟練の技術が求められ、ルーペで確認しながらの繊細な作業です。

このほか、ローレット(ミルホイール)と呼ばれる歯車状の工具を地金の縁に転がして模様を刻む方法もあります。タガネの手打ちに比べると効率的ですが、いずれも職人による手作業です。

量産品では、CADやワックス原型を使った鋳造でミル模様を再現する方法もあります。ただし鋳造ではミルが浅くなりやすく、手打ちと比べると粒のシャープさや輝きが劣る傾向があります。

粒のサイズや間隔は工房やデザインによって異なり、細かく均一な粒ほど精緻な印象を与えます。

ミル打ちが使われる場面

リングのふち

リングの側面(エッジ部分)にミル打ちを施すことで、クラシックでエレガントな印象を加えることができます。シンプルなマリッジリングに立体感と個性をもたらす装飾として選ばれます。

石座の縁

覆輪留めの枠の縁や、爪留めの石座まわりにミル打ちを施すデザインも多く見られます。石と地金の境界部分に粒装飾が加わることで、アンティーク調の雰囲気が強まります。

ヴィンテージ・アンティーク調デザインの代表的装飾

エドワーディアン(1900年代初頭)やアールデコ(1920〜1930年代)のジュエリーにミル打ちは非常に多く使われており、現代でもその様式を取り入れたデザインに欠かせない装飾要素です。

ミル打ちとミル留め

「ミル打ち」と「ミル留め」は別の技法です。ミル打ちはふちの粒装飾を指しますが、ミル留めは地金を起こした小さな粒(ビーズ)で宝石を固定する石留め技法のことです。パヴェセッティングに使われるビーズ状の爪がミル留めの一形態にあたります。名称が混同されやすいため、注意が必要です。

現代の指輪へのミル打ちの活用

現代のブライダルジュエリーでは、ミル打ちをアクセントとして取り入れるデザインが人気を集めています。全体にミル打ちを施したデザインから、ふちの片側だけに入れるデザインまでバリエーションがあります。プラチナやK18、K14などさまざまな素材に対応できる技法です。

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