ジュエリー用語集
アコヤ真珠 / Akoya pearl
アコヤ真珠は、アコヤ貝(学名:Pinctada fucata martensii)を母貝として日本沿岸で養殖される海水真珠です。日本を代表する真珠として世界的に知られており、その高い品質と独特の輝きで、ネックレスや婚礼用のジュエリーに多く使われています。
養殖真珠の発明と歴史
アコヤ真珠の歴史は、1893年に御木本幸吉(みきもと こうきち)が半円形の養殖真珠の生産に成功したことに始まります。その後、西川藤吉・見瀬辰平がそれぞれ独立して真円真珠の養殖技術を研究し、1907年(明治40年)に両者がそれぞれ特許を取得しました。日本真珠振興会は1906年を真円真珠発明の年と定めています。それまで天然真珠は極めて希少で高価なものでしたが、養殖技術の普及によって広く流通するようになりました。
主要産地
日本国内の主な産地は以下の通りです。
- 三重県(英虞湾・的矢湾):御木本幸吉が創業した御木本真珠島があり、真珠養殖発祥の地として知られます。
- 愛媛県(宇和島周辺):国内最大級の生産量を誇る産地です。
- 長崎県(対馬・五島など):豊かな海域で質の高い真珠が生産されています。
近年は中国でもアコヤ貝を使った真珠の生産が増えており、中国産のアコヤ真珠も市場に流通しています。
サイズと特徴
アコヤ真珠の一般的なサイズは直径2〜10mm程度で、最も需要が高いのは6〜8mm台です。他の海水養殖真珠(白蝶真珠・黒蝶真珠など)と比較してサイズは小さめですが、日本産のものは以下の特徴で高く評価されます。
- 照り(テリ):真珠層の表面や内部で光が反射・屈折することで生まれる、鏡のような深い輝きのことです。アコヤ真珠は真珠層の質が細かく均一なため、特に鮮明なテリが得られます。
- 干渉色(オリエント):真珠層の層が光を干渉させることで生じる、虹色に近い色の変化です。ピンクやグリーンの干渉色が美しいとされます。
- 形状:真円(ラウンド)に近いものほど高品質とされます。
花珠(はなだま)とは
花珠(はなだま)は、もともと真珠の養殖・選別の現場で使われてきた言葉です。浜揚げ(収穫)した真珠の中から、特にテリの優れた珠を指す現場用語として養殖事業者の間で用いられていました。業界統一の品質規格ではなく、熟練した選別者の目利きによる呼び名が起源です。
現在では、真珠科学研究所などの民間鑑別機関が独自の基準で「花珠」の鑑別書を発行し、小売市場で流通しています。ただし、認定基準は鑑別機関ごとに異なる統一規格のないものであり、花珠鑑別書が付いていても品質にばらつきがあるのが実情です。アコヤ真珠を選ぶ際は、鑑別書の名称だけでなく、実際のテリや巻きを自分の目で確認することが大切です。
真珠層と巻き
養殖真珠の品質を左右する要素のひとつが真珠層の厚さです。母貝への核挿入後、真珠層が薄いうちに収穫されたものはテリが出にくく、長持ちしません。一般的に「巻きが厚い」ほど高品質とされます。


