ジュエリー用語集
ラウンドブリリアントカット/round brilliant cut
ラウンドブリリアントカット(round brilliant cut)とは、上から見たときに円形(ラウンド)で、ブリリアントカットの構造を持つダイヤモンドのカット形状です。現代の市場で最も広く流通しているカット形状であり、婚約指輪(エンゲージリング)の中心石として最もよく使われます。
58ファセットの構造
ラウンドブリリアントカットは標準的に58のファセット(研磨面)で構成されます。クラウン(上部)に33面、パビリオン(下部)に25面(キューレットを含む)が配置されており、この精密な幾何学的構造が独自の輝きを生み出します。
各部位の名称と配置についてはブリリアントカットのページで詳しく解説しています。
アイデアルカット
1919年、マルセル・トルコフスキーが「Diamond Design」で発表した理想的なプロポーションを「アイデアルカット」と呼びます。光の物理法則に基づき、ダイヤモンドが最大限に輝くための各部位の角度と比率を数学的に導き出したものです。
トルコフスキーが示した理想値の一例として、テーブル径は直径比で53〜57%程度、クラウン角度は約34.5度、パビリオン角度は約40.75度が挙げられます(現代では複数の「理想値」が存在します)。
GIA(米国宝石学会)のカットグレードにおけるExcellentは、アイデアルカットの概念を基礎に設定されています。
ハート&キューピッド(H&C)パターン
理想的なプロポーションとシンメトリーを持つラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを、専用のスコープ(光学観察器)で観察すると、特定のパターンが現れます。
- パビリオン側(裏面)から見ると: 8つのハート形のパターン
- クラウン側(正面)から見ると: 8本の矢(キューピッドの矢)のパターン
このパターンは「ハート&キューピッド」と呼ばれ、H&Cと略されます。高い光学的対称性とプロポーション精度の証とされ、カット品質の指標のひとつとして使われています。
なお、H&Cの有無はカットグレードとは別の基準で判定されるものであり、H&Cパターンがあること自体がダイヤモンドの輝きに直接影響するわけではありません。あくまで精密なカットが施されていることを示す目安のひとつです。
名称について
「ハート&キューピッド」は中央宝石研究所(CGL)の登録商標であり、正式なH&C付きグレーディングレポート(鑑定書)を発行できるのはCGLのみです。ただし、AGL(宝石鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関には使用が認められているため、日本国内では広く普及しています。
同様の現象は他の鑑別機関では別名で呼ばれています。
流通量と選ばれる理由
ラウンドブリリアントカットはダイヤモンド市場全体の中で最も取引量が多いシェイプです。その理由として以下が挙げられます。
- 光学的に最も研究・最適化されたシェイプであり、輝きの面で最高水準を実現しやすい
- GIAのカットグレードが適用されるため、品質の比較がしやすい
- ソリテール・リングや爪留めとの相性が良く、さまざまなデザインに対応できる
- エタニティリング(エタニティリング・ハーフエタニティリング)の脇石としても標準的に使われる
ラウンドブリリアントカットの各部名称

| 部位名 | 説明 |
|---|---|
| テーブル(Table) | 上面の一番大きな平らなファセット。光の入口 |
| クラウン(Crown) | ガードルより上の部分全体 |
| ガードル(Girdle) | クラウンとパビリオンの境界。外周の帯状の部分 |
| パビリオン(Pavilion) | ガードルより下の部分全体 |
| キューレット(Culet) | パビリオンの最下点。現代では極小または省略が多い |
ファンシーシェイプとの比較
ラウンドブリリアントカット以外の形状をファンシーシェイプと呼びます。オーバル・マーキース・ペアシェイプ・ハート・プリンセス・クッションなどがあります。これらはラウンドブリリアントカットと比べて個性的な外観を持ち、同じカラット重量でも見た目が大きく見えるシェイプもありますが、カット品質の評価基準がラウンドほど統一されていないため、選ぶ際は実物確認が特に重要です。


